白神山地、聞いたことはあるかと思
います。少し詳しく調べると…
白神山地(しらかみさんち)は、青森県の南西部から秋田県北西部にかけて広がる山地で、人の手が加えられていないブナの原生林からなる地域である。昭和29年発行国土地理院地勢図には白神山地の名称が使われているが、世界遺産登録以前には弘西山地(こうせいさんち)とも呼ばれていた。
…とのこと。wikipediaから引用しました。
日本で始めて世界自然遺産に登録されたこの地域は、「バッファ エリア」と「コア エリア」の2つに分かれています。緩衝(バッファ)地帯に囲まれてコアとなる地域が保全されているのです。左上の写真はこのバッファエリアに入る直前からの白神の眺めです。保全地域に入る前からずいぶん山奥に入っていることがわかります。
白神山地は多雪地帯であるため、大量の積雪に弱い針葉樹はあまり生えません。その為、矮性化(小型化)した広葉樹が生える、「偽高山帯」という森林帯が広がっています。
どんどんと歩を進めます。本当に美しい場所でした。
周囲の植生は、タムシバ、オオカメノキ、マルバマンサク、カツラ、コハウチワカエデ、ヤマウルシ、そしてブナが主でした。
ブナ林は日本では珍しくない植生ですが、その中では白神山地は少し変わっています。多くのブナ林はなだらかな山地に展開する一方、白神山地では比較的勾配のきつい斜面にブナが多く生えています。この傾斜に加えて滑りやすい泥岩を多く含むため、地すべりが多く発生し、その結果として適度に撹乱が生じ、豊かな植生をもつに至ったと考えられています。
右の写真が地すべり痕です。地すべりで植生が豊かになるというのは不思議に感じられるかもしれません。しかし、光のあたり方を考えて頂ければ納得しやすいかと思います。地すべりがおきて空を覆う大樹が倒れると、林床(地面)によく日が当たるようになります。樹種によっては木陰では育つことが出来ず、こういった空き地でしか芽吹かないものがあります。程よく撹乱が起こることで、バランスのよい植生が保たれることになるのです。
今回の見学では弘前大学の先生方にたいへんお世話になりました。ここまでの写真は農学生命科学部助教授の鳥丸先生の調査に同行させて頂いた際に撮影したものです。また本来の予定では白神自然環境研究所の石川教授の調査にもご一緒させて頂くはずだったのですが、台風直後であったため残念ながら中止となってしまいました。そして特別の宿の手配や他の先生方との連絡にあたっては、弘前大学の石田准教授にたいへんお世話になりました。この場を借りて深くお礼を申し上げます。本当に有難うございました!
夜行バスを駆使しての1泊6日の強行軍、大型台風の直撃(右写真)、夜の山道での濃霧など、なかなか体験できないほど大変な見学でありました。しかしそれだけ、得たものも大きかったように思います。
スケジュールの度重なる変更や数々のトラブルをものともせず、最後まで無事に幹事をやり通してくれた藤井君、有難う!本当にお疲れ様でした。
個人的には大学最後の夏休み、とても良い思い出を作ることが出来ました。お世話になったすべての方々に改めて感謝しつつ、筆を置きたいと思います。
2011年10月 原田
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