Wednesday, December 8, 2010

奈良の木造建築に触れて


2010年11月14日、IFSA-Kyotoのメンバーで奈良を訪れ、伝統的な木造建築を巡りました。
今回は東京芸術大学から矢野健一郎先生をお招きして、奈良の建築について解説していただきました。普
段は建築について勉強することがすくないので、先生のお話はとても興味深いものとなりました。

見学の様子を少し紹介したいと思います。
まず訪れたのは興福寺の中金堂です。
現在復元中で建築の様子を見ることができます。国内では巨大な柱が手に入らないため、ケニアから輸入したアフリカケヤキを再建に利用しているそうです。
次に東大寺南大門です。
仁王像で有名な南大門ですが、建築的にも面白いんです。少ない材料で、強い構造を実現
しており、当時の中国(宋)の技術が用いられています。ちなみに仁王像はひのきを何本か組み合わせることで作られているそうです。
そして、次に東大寺の大仏殿を訪れました。
さすが世界最大の木造建築とあって大きさには圧倒されました。大仏殿には強度の面で優れるヒノキが使われており、スギは利用していない。昔の人がそれぞれの木の性質を理解しており、目的に応じて利用する木材を変える知恵を持っていたのだと感心しました。
中に入り大仏様とご対面。
柱にある鼻の穴の話は結構有名ですが、実はこれには厄除けの意味があるそうです。鬼門である方角の柱を未完成にすることで災難を避けているそうです。

その後、三月堂と二月堂と周り、春日大社を訪れました。他のお寺とは違う神社の建築を見ることができました。
この写真は春日大社近くのご神木をとったのですが、このように木や山を神様として大切にする文化は日本独自なんです。自然に敬意を払う、大切にしなくてはいけない文化だと感じました。

春日大社を離れた後、矢野先生とお別れをし、最後に先生にいただいたチケットで、興福寺の五重塔などを拝観しました。

今回の研修では、紅葉をみたり鹿と遊んだりと楽しく、また奈良の建築について、矢野先生に詳しい解説をしていただきとても勉強になりました。


矢野先生、本当にありがとうございました。

伊藤拓也

Saturday, December 4, 2010

COP10に参加して

COP10に参加して   石井 勝之

私は2010/10/18~10/29の間、IFSAを通してCOP10に参加しました。
これから、私がCOP10参加を通して思ったこと、感じたことを記していきます。しかし、COP10の会議の結果概要については、環境省のウェブサイトに掲載されているため、僕の文章では体系的に触れません。そちらを見ていただきたいと思います。あくまでも一学生の感想としてお読みください。
(参考)環境省のウェブサイトURL:http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=13104

それでは、はじまりはじまり。




COP10では、本会議、Side-event、生物多様性交流フェア、Excursion tourなど、様々なイベントを見学した。

以下でそれぞれについて報告および感想を記す。

◆本会議

 本会議では、生物多様性条約の条文について各国代表および国際機関代表が一堂に会して議論していた。これからの生物多様性に関する国際的な取り決め・活動方針を立てるためにはここまで大規模な議論をしていることに驚いた。しかし、個人的には政治の話よりも科学の話のほうが好きだったので、本会議ではその雰囲気を覗き見る程度で深入りはしていない。




◆Side-event
 
 私はCOP10期間中、本会議よりもSide-eventを多く聴講していた。条文作成のための本会議に対し、Side-eventは締約国、各種団体の取組の紹介及び情報共有・意見交換の場として生物多様性条約事務局が主催するセッション形式のイベントである。したがって、Side eventを聴講することによって、様々な団体の活動や主張に触れることができた。生物多様性問題は、科学・政治・NPO・NGO・教育・企業・市民・学生などなど、様々な主体が関わっており、それぞれが各々の立場から、問題解決に向けて取り組んでいることを理解した。生物多様性問題は科学の領域のみに閉じるのではなく、複合的な問題なのだと実感した。しかも、多様な主体が連携することの重要性は、殆どの団体において認識されているようであった。

 これだけ生物多様性に対する意識があるのならば、問題は解決できてしまうのではないかと思ってしまうが、話を聞いている限り、理想的な解決策はとてもよく論じられているが、実際に問題が解決するのはまだまだ先のことだと思われる。政治的な問題は詳しくないが、僕の最も関心のある科学に関しては、将来問題解決に向けて何かしら取り組みたいと思った。かつ、視野を広げ様々な価値観を知り、他の様々な主体と連携していこうと思った。

 さて、Side-eventでは、政治的な内容が多かった。僕は科学には一般の学生よりはなじみ深いが、政治に関しては素人だったため、新鮮であった。しかし、政治の話は、数値目標や資金、これからの取り組みについてなど、「目標」の設定に焦点が当てられていることが多く、本当に実現可能なのだろうかと思った。
 
 対して、研究者の話は、「モニタリングの集中している地域と実際に生物多様性が急速に減りつつある地域はずれている。」「将来予測のための操作実験は、自然環境に即した形で行われなければ、得られた結果を自然界に反映できない。」「海洋保護区を設定するときは、産卵場所、稚魚の生育場所、回遊魚の回遊ルートなどを調べて、保護区間のネットワークを考慮しなければならない。」などといった意見があった。僕は、このような、政策をより効果的にし、かつ実行力を高められるような提言を科学の立場で将来行いたいと思った。

 いずれにせよ、多様な主体の存在を間近に感じ、様々な主張を拝聴できたことはためになった。

◆生物多様性交流フェア
 
 これは、COP10会場に隣接する白鳥地区で開催された、生物多様性をテーマにした国際的な発表、展示会であった。国内外の政府や自治体、国際機関、NGO、NPO、企業、学術機関、学生団体など、200を超える多岐にわたる出展者がブースを出展し、生物多様性に関する課題や取り組み、アイデアなどを発信していた。

 一番面白かったのは、JAMSTECのブースで、Census of Marine Lifeの展示を見て、まだまだ海洋にはわからないことがたくさんあることを知った。また、研究員の方に直に話をうかがうことができ、海洋調査研究の最新の情報をいろいろ聞くことができた。ほかにも、環境省などの国の機関、都道府県・市町村、大学、自然保護活動団体などなど挙げればきりがないが、多様な主体の活動、主張を直に聞くことができた。

 将来研究者となったとしたら、研究成果を社会に還元するためにこうした多様な主体と連携していければいいなと思った。あるいは、研究者として生きるのではなく、アウトリーチとして生きるのもおもしろいかもしれないと思った。生物多様性フェアで学んだものはあまりにも多様で、僕の価値観をたくさんの方向に拡げてくれた。

◆Excursion tour
 
 23日、24日に、中部地方各県の自然や歴史・文化を紹介するエクスカーション(※1)が実施された。私はインドネシアのIFSAメンバーたちとともに、1泊2日で三重県伊勢志摩エクスカーションツアーに参加した。ツアーでは、アマモ場と干潟の生き物観察、伊勢神宮の境内・宮域林の見学、合歓(ねむ)の郷の里山散策と夕日鑑賞、志摩氏の里海についての説明、志摩自然学校でのシーカヤック体験、海女さんと囲炉裏端交流をした。
 まず、アマモ場と干潟の生き物観察では、地元の方が投網で魚の稚魚を取って見せていただいた。2回の投網に対し、20種類くらいの稚魚が捕獲された。中でも、アマモに擬態しているヨウジウオは奇妙だった。
ホテルのバイキングで昼食をご馳走になった後は、伊勢神宮の境内・宮域林の見学である。内宮の参道に立つ大きな鉾杉は圧倒的だった。
そして、バスで合歓の郷へ。里山はのどかな雰囲気に包まれており、私を日常の喧騒から解き放ってくれた。見渡す限りに続く、人間と自然の調和が具現化された里山の世界に溶け込んで、私は忘れかけていた少年の心を取り戻した。そして、夕日鑑賞のため海岸へ。海辺から眺めた青みがかった深い紅色の夕焼け空は私の心に切なく焼き付いている。水切り(石を回転させて海に向かって投げて、跳ねさせる遊び)をして皆の注目を浴びた。
そしてホテルのディナーへ。最高級のおもてなしだった。食事はとても豪華だった。また、伝統的な謡の披露や餅つきが行われた。伊勢志摩の伝統芸能に触れ、海の幸を楽しみながら、会場の人々は皆、身分や国籍に関係なく、ひとときの休暇を満喫していた。
そして翌日、横山ビジターセンターへ。展望台まで行き、そこで伊勢神宮宮内志摩市における里海の創生の取り組みについてのレクチャーを聴いた。話はとても興味深かった。
【要約】
志摩市では、水産業だけでなく、観光や環境学習などさまざまな形で利用される「新しい里海」の創生に取り組んでいる。目標は、人と海とが積極的にかかわり合いながら高い生産性と生物多様性を保つ「里海」の創生である。そのために、過去の環境汚染に対して水質浄化や排水規制を行うだけでなく、沿岸域を統合的に管理することを目指している。また、地域住民・土地の所有者・地方公共団体・専門家・行政機関・NPO・NGOなど、多様な主体がコミニュケーションをとりつつ、各自の特徴を生かして目標達成のために様々な活動に取り組んでいる。
確かに、人々が海に親しみ、海からの恩恵を身をもって理解し、「海を大事にしよう!」と心から思えるようになってこそ、目標とする「里海」の創生が実現味を帯びてくる。私は、将来海洋生態学を研究しようと思っているのだが、研究者が社会に貢献し、地域活性化の原動力となっている姿を知ることができて感動した。私もゆくゆくは研究成果を多くの人に役立てるように応用したいと思った。
レクチャーの後は志摩自然学校に移動し、シーカヤックを体験させていただいた。IFSAIndonesiaメンバーのウルファとペアーだった。2人で力を合わせて漕ぐのははじめはなかなか難しかったが、最後のほうになるとようやく息がピッタリと合うようになってきた。海を航行中、カキ養殖の筏を間近で見た。豊かな海の恵みのルーツに触れた。
そして、最後に昼食兼海女さんとの懇親会。伊勢えび、ホタテ、などの炉端焼きをご馳走になった。海女さんは昔と今の海の違いや、海女の歴史について話してくださった。自分は海女さんとIFSAIndonesiaメンバーの間で通訳業も行った。海女さんの心からのおもてなしに、人間のぬくもりをひしひしと感じた。
食事後、バスで名古屋へ戻る。1泊2日の短いツアーだったが、三重の自然や里について広く、そして深く学ぶことができた。夜7時半に名古屋到着・解散後、IFSAKyotoメンバーとIFSAIndonesiaメンバーで名古屋駅のマグロ料理店で懇親会を行った。

今回のツアーを通して、三重県における里山と里海の姿を実際に体験することで、心から理解できた。今後、機会があるごとに全国各地の里山・里海について学んでいきたい。こんなにも素晴らしいエクスカーションを実行していただいた、関係者の皆さま方には多大なる感謝を捧げます。10年20年後に出世したら、恩返しさせていただきたいと思います。


※1 エクスカーション:従来の見学会や説明を受けるタイプの視察とは異なり、訪れた場所で案内人の解説に耳を傾けながら参加者も意見を交わし、地域の自然や歴史、文化など、さまざまな学術的内容で専門家の解説を聞くと共に、参加者も現地での体験や議論を行い社会資本に対する理解を深めていく「体験型の見学会」のことである。


◆IFSA-Indonesiaの発表
 
 10/21にIFSA-Indonesiaのメンバーが、CEPA Fair(※2)のSide eventを開催した。小林・伊藤・石井・山下の4人がIFSA-Kyotoの代表として彼らの発表に耳を傾けた。

 彼らは、森林教育の問題点を明らかにし、教育・社会・資金・学術機関の連携を提案していた。また、国際的な学生同士の交流も重要だと述べていた。学生の目線から出された、社会のニーズをより反映した構想である。それでいて、きちんと資金のことや、他の主体との相対的な位置づけを考慮しており、優れた計画であったと思う。しかし、この計画を実行するには、上述の連携が成り立たなければならないため、時間が必要だろう。提言してから結果が出るまでに時間がかかることは、あらゆる政策に関して言えそうなことだが。
 
 とにかく、同世代の海外のIFSAメンバーの活躍を間近で見て、自分も負けてられない、頑張らないと!と思った。




↑ IFSA-Indonesia メンバーによるプレゼン【写真は後日Upload】

※2 CEPA Fair:カルタヘナ議定書・生物多様性条約の目的達成に資する情報交換、教育及び普及啓発における取組やその成功事例について、締約国及び各種団体が発表し合うために、生物多様性条約事務局が主催する成果物展示コーナー及びサイドイベントである。

◆総括

 思うに、まだ学部3回生の若造が、COP10に参加できたことは誠に幸運であったと思う。正直なところ、背景知識や英語力に欠けていたため、全てを十分に理解する事はできなかった。毎日毎日、シャワーを浴びるかのごとく、今まで知らなかった情報をたくさん得た。情報があまりにも多すぎて自分の中で十分整理することができず、COPの雰囲気を味わうので精一杯だった。

 それでも、COP10を通じて、科学以外にも多様な主体が生物多様性問題に、それぞれの立場から取り組んでいることを心の底から理解することができたのは、大きな収穫であった。繰り返しになるかもしれないが、多様な主体が連携して相乗効果を発揮することで、初めて問題の解決につながっていくのだろうということがしみじみと感じられた。将来は、自分の特性を生かしつつ、いろいろな人たちと協力して、持続可能な社会の実現に貢献できればいいなと思う。



終わり


※写真のUpload方法が分か分かり次第、載せます。
年明けまでお待ちください。